木(Les Arbres)/葉leaf
 
〖一本の木が、忘れ去られた復讐のように立っている。木は、日の光に葉をざわめかせながら、停止点を刻んでいる。頑なに、雪を拒んでいる。樹冠からは水平に三本の木が伸びていて、それぞれが斥力に泳いでいる。そのうちの一本の木の枝に取り付いた果実が、街々を夢見ている。別の一本は斧の痕を痛みながら、樹皮の内側に羽虫の卵を蓄えている。残りの一本ははらわれた枝の根元に、新しい芽の拍動を感じている。下生えはいよいよ透き通り、蜜のように風に溶ける。土壌は島のようにあちこちに浮いており、境界において真空に同化する。蜘蛛の郷愁。遥か下方でマントルが。〖静まった嵐の球体が辺りにちりばめられ、鈍い光
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