飛行船/宮岡絵美
紺色に遠い夜空
白い月が明るく浮かんで来る
私の頭のなかには
とりとめのない考えが
浮かんでは消える
いま 空を歩いているところ
降りしきる雨のなかに
いつかの
或いは未来の
遠い記憶を辿っている
ああ本当に
ひしめき輝く星たちの間に
我々は我々として生きているのだった
何度も、何度も泣く
嘘ではなく
この現実がほんとうに私のものである為に
この胸に去来するのは
遥かなる飛行船と君のくれた言葉
地球上の人々の心に
虹が架かる一瞬を待っている
小さな思想を紡ぐ言葉など出てこない時は
空の写真を撮ったり
長い長い散歩をしたり
いつものこの風景に
[次のページ]
戻る 編 削 Point(6)