ヒアゼア/船田 仰
じてしまったらもう目覚めたくない
赤ペンでしるしを書いて。
わたしが息をしているときに、
ばーん
と、しるしを書いてほしいんだ。
音やら色やら温度やら記号やら煙草やらカフェラテやらコートやら、
ごちゃごちゃのすました記憶のすみに
猫が一匹いて
にゃあん。みたいな雰囲気かもしだして
あいづち
雨がしとしと地面を浮かす。そしてはがれ落ちてしまうので、
わたし、きみと呼べる君が沢山ありすぎて
くちびるの下に
指をおく。
ねむる。
素敵な物語を知るのだった。
過去だった、
だらしなく開かれた夜を繰り返し語るけど
どうか
重たくしないように
雨ざらしの今日にいつもくるまれるように
ちからは
ない
空っぽを
持ってる
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