ヒアゼア/船田 仰
一気に見た物語に
夜中のわたしはすっぽりくるまります
にゃあんにゃあんと泣きたい気分
全身でなにかを目覚めさせたい気分
全身だけで終わりを見たい気分
お昼寝の途中で
いきなり体が震えるときがある。
それはきっと心のどっかが震えているので、ベッドは振動しなくて、
でも体のすみからすみまでにとてもとても黒い風が吹き込む音が、
する。
ぐおーぐおーと真っ黒な風が四方から、
とてもとても大事なものを、
とても、
非常に重くて時にあったかいものを、
忘れちゃったからかなあ。それとも、
ああ、ブラインドが宙ぶらりんな存在だ。
まばたきの途中でふと思いついて
目を閉じて
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