風の子の弔う/凛々椿
父ちゃん
あんお地蔵様な毎日こっちば見よるとよ
戦火でむごう焦げた左っかわ
今日もハンサムよ
父ちゃんに似てよか男ばい
いたばり出てみれば秋ん風のすーっとすると
こん前どか雪降ったつ思うとったんにもう夏の過ぎようとしようとよ
時ん経つの早かねえ
早かね
あんときのお葬式 あらあどっから来よったとね
孫が黒か猫ばつかまえてきよってこんいたばりで見せぶらかしよったき
そらとんだ騒ぎやったとよ
みなして不吉や不吉やこきよってからに
ばってんあれは小んか子んしたこっちゃろうも
父ちゃんなら目ば細めたに違いなか
あれは風の子の
弔いよ
ひゅるるひゅるるう ひゅ
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