東京23色/街の中にいくつも散らばっていく/水町綜助
尽くされたような夜のうちに
布団の中でまるくなって眠っているうちに
どこかで重機が動き回り
誰かと立ち往生しながらいろいろな話をした踏切や
線路沿いのバラック街や
ある日、多面体と通り過ぎ、
高架のうえから眺めた街々を
そこにあった夜と夜と夜とたった一回の昼と
少し悲しいみんみん蝉は東京で
別の街には熱すぎる油蝉の鳴きごえが響いてて
蝉の鳴きごえの違いで分かるという
俺の持論で別々のものに分けた二都市
そこにことし訪れた
意識をぶん投げさせるような暑さの真夏と
肌触りの残滓とTシャツの袖口と
トムカーガイによって流された
隙間を伝う汗
を、すべて奪った
変わ
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