夏に恋する乙女/
寅午
夏が甘い言葉でさそう
からみつく夏の手が情熱的に
かの女のからだを愛撫して
いちまい一枚服をぬがす
かの女は身もこころもすっかり魅せられ
とろけたバターのようにあらわな白いからだを
朝、ベッドのうえによこたえて
夏をずっとすごした
夜の窓から 涼やかな虫の音がきこえ
風がふきこむ
かの女のなかに 胎児のようなほてりを残して
夏はいってしまった
ふく風が かの女と子どもをひき離すようで
かの女は子どもをだきしめ
去りゆく夏を見送る
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