石の星座/まーつん
 


 だが
 その麓には
 膝を抱えて蹲る
 一人の少年がいる

 垢じみた顔
 みすぼらしい衣服
 空き腹を抱えて
 地べたに小石を
 並べている

 細い指先が描き出す
 うろ覚えの星座の形

 天野原を駆ける
 一角獣の嘶き

 虚空を踏みしめ
 矢を番える
 射手の横顔

 逃げるオリオンを
 追い立て、振り上げる
 サソリの尾の針先

 乾いた土に
 雨を注ぐ
 水瓶の傾き…

 暗い大地の片隅で
 星の役を振られた
 名もなき石たちは

 光ることもできず
 済まなそうにしている

 それでも
 雲に覆われた
 空の下

 冷たい風に
 前髪を揺らす
 少年の黒い瞳に


 星の輝きは
 映っている



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