言葉の人形たち/まーつん
言葉って、抱きしめられない
口づけたり、切りつけたりできない
だけど、君に会いたい
針先ほどの穴に
空が吸い込まれていく
風も太陽も巻き込んで
言葉って、食べられない
凍らせたり、燃やすこともできない
だけど、君に触れたい
夜が湧き上がる
崩れかけた
積み木の街の足元から
湧き水のように
壁の隙間を満たしていく
立ち尽くす君は 押し寄せる夜に
背後から 飲み込まれる
その眼を 僕に向けたまま
一日の終わりには
物語の始まりがある
陽の当たらない
寸劇の一幕が
古いノートに
君を書く
窓から流れ込む
街灯の明
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