その音は岩に響いて/ゆったいり
「空はどこまでが空なんだろう」
そんなこと、僕に聞いたって
答えがないのは分かっているのに
「あの海の底には、無限が眠っているんだね」
僕が理解できないことは、
分かっていたはずだろう
「反対って、ぐるぐる巡るんだ、太陽と月みたいに」
だから、と君は言った
そう、知っていたのか、君は
君の言葉が風景の中に反響する
夏の木漏れ日の中、
雪の輝く枯れ木の下で
君は何を伝えようと
昼夜は回り、季節は巡って
君はもういない
君は帰ったのか、
海の底に眠る無限
空はどこまでが空なんだろう
知っていたのか、君は
遺そうとしていた
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