メノラ/神山
深夜シャンデリアの爆発
すべて蕾のままの茴香を焼いた
そのための燭台
何も語れない胸で抱く険しい手
電線に新月も砕けたあとのまつり君の静脈
鼓動きわまって海につづく
ただうなてのそこ私の半身
さても託すべき慰みひとつない
こなごなのプール水面の玻璃
踏み抜いたここから罅ひらく夏の光沢
綺麗な死骸ばかり浮かぶ
きれぎれの肺に
どうか君の好きな音楽を流せ
流れた血の紺青をひいた
それも君と私の行く末の生ける静けさ
くちづけは酸味ばかりする
今どこの国がほろびた
この恋が誰をあやめる
深夜プールに火の星の落下
ゆらりと茴香の灰ひとかかえ
燭台の炎さいわいきわまって星座を得る
恋得るはさてもやさしい
憎み切れるならどうかこの胸
ともに千々にちぎれた心臓の末
やっとふたり同一の化け物
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