日記「七月」3 (十四首)/もっぷ
どうしても会いたいという切実を部屋が知ってるテディが視てる
土日がこの世で最もつらい日日なぜと言わないあなたに言わない
過呼吸にエレベーターは狭すぎてあなたの分も呼吸してます
ソラミミに尖ってヘッドフォンをするラルクを聴いていよいよ尖る
「ゆかないで」もう戻らないひとに言う夏は夏のままの日曜日
たずね宛て先不明には慣れていることをかなしむ午後がやまない
水曜の午前三時になにかあるそんな気がした二人が居た日
遺言は信頼できない人からのことづてだけどすがる侘しさ
翼から頼まれたのか鳥たちはせいせいと飛ぶインコは飼わない
空腹を満たせるすべのない耳にカルビだネギだと聞こえる夕べ
気がつけば三十三度を超えていた作歌に夢中の夏の五畳間
かのひとは鰻重大好きかの日にはベッドの向きに鰻屋があり
夏に居た冬に居たきみのベッドにはいつでも最後の用意がされてて
繋がった未来の涯てに何もないごめん父さん結婚してない
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