題詠「アメリカ」 (十四首)/もっぷ
アメリカン・イングリッシュのかなしみのゆきつくさきのネイティブ不在
遠い日の記憶のままのアメリカはカリフォルニアの良いところだけ
どこまでも続く平野の真ん中の無人の駅にアメリカを悟(し)る
砂漠から熱のすべてを知り尽くす風吹き寄せるわたしのアメリカ
一枚の写真に笑うあの少女アメリカでまだジャップを知らない
はじめての投石受けた思い出の投げた相手はアメリカのこども
習わずに覚えたことば壊されてアメリカに無知な教師をうらむ
ウォーラーTはRに置き換えて減点されたアメリカ訛り
カイト飛ぶ限りなく広く青い空どこにもアメリカとは書いてない
一〇セント握りしめてるこどもならアメリカはまるで天国でした
ギター鳴るたしかにあれはパフだったそれだけ残しアメリカを消す
TDR夢うたうのは「おとな」だけしらけた「こども」アメリカ視てる
アメリカン、オーダーをするニッポン人だれも赤色人種を覚えず
アメリカはそれでもやっぱり生きているあのおさなごがいまおとなでも
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