日記「七月」2 (二十首)/もっぷ
 
になり引き算をしてきのうにならない


きみの名は戒名でなくきみの名はあらためられず未だ父さん


空の涯てどこまで行ったあの白い煙の立っていまはどこまで


白煙は冬の日のものきみと猫のこされてみて七月のわたし


無理と知りたぶん言ったか殺してときみの痛がる姿消してと


この町に個という単位のふさわしい三畳ばかりの工場連なる


バス通り雨に濡れても街灯に晴れればある意味そよぐぴらぴら


ゆく前に立ち返るよう促されそうかと思い締める靴ひも


きょうもまた不忍池の見ていない蓮花だけど写真で視てる


日記帳開いて書かない出来事と熱心に書く心象風景


公園の花は遠い日ハナミズキいま陽に透けて落ちる思い出


戻る   Point(4)