浪人/葉leaf
 


本を読むのが日課
活字にはひとつも希望が詰まっていない
友人たちの成功に
心を厳しく墨で塗られては
それでも知識を蓄えねばと
狭い部屋で魂を受験に売り飛ばす

家族は私が楽をしていると思っている
いつまでも夢を追い続けていると
ああ 私の夢は全く違うところにある
全ては生きていくために神経を切り売りしているのに
近所には悪い噂が立つ
いい大学に行っても仕事に就けなければだめだろうと
私は優越感の餌としてとてもおいしいらしい

人と人との間に理解などあり得ないと
人と社会の間に和睦などあり得ないと
不可能性の数を数え始めるときりがなくて
社会的な死を社会的にいかに生きるか
宙返りでもしないと生きていけない
宙返りをするためにこっそり書いている詩や評論の類に
自分だけが認めた唯一の光を託す

心の闇はもはや闇どころではなくて
一つの宇宙、孤立した宇宙として
独自の銀河や恒星で満たされる
そのような宇宙を食らいながら
浪人としての僕はかろうじて
社会や家族からの包囲に対して籠城しているのだ


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