弾痕/石川和広
 
雨が止んだそのまま
空気は僕の肺で湿りながら撫でまわして、くぐる血管が霧を食べる
さっき女ともだちに
意地悪なメールを送った
送らない方がきっと
あの女を苛立たせる
あまりに一般的な
妄想

暗い木の影を背に
かろうじて白む駅

いつまで
進むことの遅れを
騙しながら進むのか

おばさん
子の受験会話
あいづちが過ぎる
合言葉は
にんげんだもの

メールで詩を書く
座る僕
誰ともしゃべらない
公共空間で

走る
休みあけの話が
僕の言葉を
貫通する
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