湖のほとり/
栗山透
湖のほとりに立つ
秋にしては風が冷たい
氷の手が首に絡みつく
湖の水は風を受けて
ゆらゆらと揺れている
ここは寒い季節にだけ
訪れる特別な場所
森も風を受けて
ゆらゆらと揺れている
葉っぱのこすれる音
僕も風を受けて
ゆらゆらと揺れている
湖では
形のぼやけた月が
たったひとりの僕を
不思議な顔をして
見つめている
僕は風を受けて
ゆらゆらと揺れている
葉っぱのこすれる音
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