蝉が鳴かなくなった/草野大悟2
 
朱色のときがいきなりきえて
雨傘は紫陽花をさがしている
心は
みちづれを探して雨傘を捨て
朱色のときは
その潔さにあんぐりしている

初秋という名のコオロギが
kotosimo鳴いて
さあ
私たちの明日がはじまる

蝉が鳴かなくなった
雨傘は
雨を求めている

蝉が鳴かなくなった
心は
心を
抱きしめている

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