カラスは仰向けに/半知半能
 
冴えない空気だいつもわたしそう思う
まるで鈍くなったカミソリで作ったような
にせもののメロウ
にせもののヴィジョン


力のないわたし社会と自身をだまくらかして
読み進まない文庫本を片手に地下鉄を降りるのに
いつもカラスはただ眼を光らして電灯の下
わたしを見つめている

そんな日は
家に帰りベッドに寝そべり仰向けになって
天井のずっと向こうのことを考える
わたしカラスかもしれない そう思ったら
あの眼でカラスに怒られる気がした


暗幕を背負った空がわたしを無視して
一日一回のルーチンワークをこなす
ビルの影も増長するし空気も淀むから
今夜もどこかでカラスの眼が光るのだろう
















































いいよカラス それでもわたしを連れて行って


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