若く、美しい男/うめバア
あたしが何を見たって?
6月27日の夜
そうね、雨だったわ。
2AM
裏通り、濡れて光る外灯の下に
若く、美しい男が立っていた
男がいるのはこの世界の真ん中で
これから男に降りかかるのがどんなことか
だれもわからない
世の中をあっと言わせるような
大きなことかもしれないし
何かとてつもない厄災かもしれない
わからない
ただ、その男はとても若く、そして美しかった
男が抱えているのは
悲しみ、あるいは抑えようのない怒り、少しの不埒さと、恐怖
男がこの世を憎めば憎むほど、この世も男を憎む
でも男は、捉えられてしまったの、この世界に生きることに
だからとりつかれ
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