バタバタ/yamadahifumi
 
私達が存在しない事・・・これ以上の至福があるだろうか。

私は存在しない。私はその事を強く感じる。私は・・・。

私は日曜の朝、日の当たる川べりを歩いていた。風が心地良かった。・・・人々は犬の散歩などで歩いていたが、その中にあって、私とは一個の不在、空白だった。だから、日は私を透かして、地面に落ちた。

あなたが、もし、そこに自分がいると考えるなら、それは間違いだ。あなたが自分を探したり、「真の自分」を探し求めるなら、それは大間違いだ。世界には何十億という人間がいて、その中の一人が踏み潰された事で、それが何だろう?・・・。あなたは、蚊を潰して、その悲哀について思いをめぐらした事があるだ
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