暮れゆく夏にきみと/Affettuoso [アフェットゥオーソ]
蟻をころすと地獄におちるのよ
と、きみは云う
真っ青な飴をなめて
ブルーの舌を出してみせるきみ
背中のリュックで
水筒の氷が からころ鳴って
雲のかたちにぼくを見てくれた
こんなにならんで蟻はまるで
ふませようとしてるみたい
と、きみは丁寧に歩いてみせる
扇風機がアイスをとかしていく
蝉の死骸をほうっておけなくて
蝉のお墓があふれる庭
今年もひまわりに背比べで勝てないきみ
風鈴をぼくのそばで鳴らしてくれた
きみとすごす夏がおわるまで
あとすこし
ねぇ ふんだりしないでね、ときみが哂う
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