地球の顔を踏む/殿岡秀秋
 
頂上から
山の斜面にある
噴火口のくぼみまで
火山岩の砂利を踏んでくだる
植物のない荒涼たる大地

坂の途中で
凹んでいるところは
地球のえくぼだ
そこからあがったところは瞑った目
急にひらけた視界の下に
砂を吐きだした跡の口が開く
わしはいつかまた火を噴くぞ

灰色の火山灰のつもった
斜面をくだる
いつか最後の川を渡るときに
こんな地形を歩かされるのだろう

登ってくる人たちとすれちがうときに
頂上には雪が残っていると伝える

いつかわしの処へ戻ってくる
と背後でうそぶく声を
砂利が入った靴の中の
足の裏で感じる

そのときはからだが
軽く
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