秋を迎える為に作る花火があってもいい/Neutral
拝啓 酷暑の折 いかがお過ごしでしょうか
僕は一足先に
夏に別れを告げるつもりです
今日の帰り道 揺れるススキの穂を見つけ
あと少しで訪れる秋が待ちきれなくなったからです
あの頃僕は 夏の活気を見下しながら
人の心を掠め取って紅葉する秋の風でした
今でも変わってませんが
マフラーと伸ばした髪で顔を隠して闊歩する
寂しかった子供時代に戻してくれるから
僕は 涼しくて切ない秋が大好きです
歳を重ねるたびに
僕の事を知っている人は少なくなっていきました
まるでふるいにでもかけたように
今でも残っているのはほんの一握りもありません
色々なものに告げてきた別れ
僕は噛み砕けず
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