夢/葉leaf
 
夢という視野は、原野でもあり荒野でもあるのだが、いつでも決まった角度で決まった方角をめざし、その視野の映像がどんなに枠からはみ出ようと、どんなに重なりこじれようと、観念と情念の間に架けられた橋の上に端然とたたずんでいる。視野に映り込んでくるのは、主に過去の夜空であったり、死んだ者たちの骨格であったり、地下深くに描かれた抽象画であったりするが、それが夢であるというただそれだけの理由で、すべては青空の飛沫を浴びて滑らかに磨かれていくのだった。夢という視野がまたたきを繰り返す、そのたびに降り積もっていく人生という文章の流跡、世間という蜘蛛の巣の粘性。だがあるとき人は、夢という視野が方角を見失う瞬間に直面
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