『私』の存在不証明としての詩/yamadahifumi
私は何も書く事はできない
・・・おそらく書くべき真理も事実も教説も
全てこの二千年ほどの間に書かれてしまったのだ
・・・なのに、私は何故、書くのだろう
どんなポエジーも全て書かれてしまったというのに
どうして、私はこうして行を連ねるのだろう?
何の意味もない言葉、無意味の言葉
誰からも何の見返りもない言葉
私という不存在を示す言葉
私が無である事を証明する為の言葉
私が生きた証ではなく、「生きなかった」証である言葉
・・・多分、私はそんな言葉達を
まるで蝶々を追う子供達のように
追っているのだ
そして、その言葉の蝶をつかまえた時
・・・おそらく、私の存在は消える
だが、そこには何がしかの言葉の香気が
不可思議な鱗粉のように
残っているだろう・・・
『私が存在しなかった、その証明』として
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