盛夏/
伊織
ひぐらしが
違うひぐらしになってしまう日を
待ち焦がれている
太陽の持つ熱とは別の種類の熱が
わたしを包み
わたしに留まる
何もかも解っている
あとは応えるだけ
この身体の奥で眠る熱を開放して
直接ぶつけたいのです
熱と熱があわさって融けていくのを
静かに嚥下して
ふたり
の意味を知る
ひぐらしが
アブラゼミになった日には
手を繋いで
夕暮れ空を見つめる
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