箱庭にて 雪氷積りて 草花艶やかに/黒ヱ
が咲いてしまっていて
その花弁の一枚一枚が
全てを奪い去って行ってしまう 光を放っている
「おそろしいことだ
これは 大変に 本当に おそろしいことだ」
形を留めていない獣の骸たち
「我こそが! 我こそが!」
息をもさせぬ真っ黒の臭気の中で劈く
とても早口で
嘆きながら蔑み 塗り潰そうとする
辿り着けぬ それでも進み行く 紺碧の輪廻
過ぎし日をつらつら 語り出しては
また燻り 姦しく鳴り
そこにあるものは 同じ
だが 女には 同じに映らない
時の波に揺らされ 攫われ
時間だけを貪り
全てを理解したと吹聴した後
「わたしが 正しい」
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