Hotaru hotelのほとりで/木屋 亞万
 

時折みどりに明滅していて綺麗

クラゲ
水の母、海の月
なぜ光るのかキラキラと
深海を一人でパレードするように
孤独な人たちは誰だってあの光に憧れる

つめたく暗い街でさえ
一人で光ることができたら
みどりに光ることができたら

安いカクテルみたいな涙だけど今は
見ているだけで力をくれる栄養剤

冷蔵庫の光を顔に浴びる
ちっぽけな私にはこれくらいのスポットライトでちょうどいい
ブラックコーヒーが飲みたいのに、なくて
ふらふらと歩いていく
こころの支えがないときは、ほんとうに足元がおぼつかない

24時間光ってるお店で
安い少量の珈琲を買って、ホテルに戻る

街は明滅する光に満ちていて
こんなにも火垂る
くらくらするほど孤独な街を
漂う光のさびしさ
酔いしれるものもないままで

じりじりと焦げ付いてくる
尿意にしたがいトイレにこもれば
じょぼじょぼと注がれる尿さえ
緑に光り輝いて
私は孤独な病を抱えている
蛍なのだと確信した

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