Hotaru hotelのほとりで/木屋 亞万
冷房をきかせた部屋で、少しずつ冷めていくベッドのシーツを撫でながら、吐くように泣いた。体の中の悪いものが外に出たがっていて、こらえきれずに涙になってあふれた
白い布地に落ちた雫がブラックライトに照らされて、緑色に光っている。腕に落ちた涙も、床にこぼれたものたちも、当たって弾ける瞬間に、パッと緑に光るのだ
蛍
目から緑の火が垂れるようで
火垂る
窓の外
橙の街灯
濡れたアスファルト
たまに走り抜ける車のテールランプ
雨が降ってきた。
窓が水滴で塗り上げられて、そのひと粒一粒が、
夜も暗くない街の灯を、吸って吐いてを繰り返す。
水滴に私の涙を混ぜ込んでみたら
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