労働/葉leaf
 


あまりもの近さから贈られてきた
体のかけらの数に対して
あまりもの遠さから贈られてきた
幾何学の無限の定理に対して
少しずつ土壌の水をくみ上げる
着実に四方へ向かう風を作り出す
贈られてきたものの重みには
決して釣り合うことのできない
わずかな返礼を流していく



生まれたときから世界を傷つけたかった
世界が存在することもしないことも
すべて否定することが生きる目的だった
今日も際限のない哲学の生産
脳の華やかなカーニバル
言葉など決して世界に届かないのに
哲学は否定の能力がないのに
悪意としての思想としての自己のつらぬき



何も知らなかった
働いた後の水の味やご飯の味だけは知っていた
身についていく技術も当たり前のものばかり
そうして何も知らないまま
体は幾重にも花開き
花は汗を流し働き続ける
何も知らなかった
ただ人々の体の協働を愛していた

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