慟哭〜あるいはそれに近いもの/田園
 





私は八月の夜、
声なき慟哭に揺さぶられた。
慟哭、ではないかもしれない。
声はかすれていたから。
だが、あれは「慟哭」だった。
だって声をあげようにも、
隣には小さなサナちゃんがいるし、
怖がらせたくない小さな家に住む私は、
声を出して泣くことはできなかったのだ。
涙も出ない、声も出ない、
苦しみの中から這い出るように、
私の苦しみを昇華させるように、

次の日には笑おう。
その次の日は怒ろう。

ただ今は、泣くに泣けない声なき慟哭。
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