過ぎてもわからない/加藤
誰にも話せなかったことが
ずっと下にたまっている
ささやかなつみ重ねを
自分ですら見落としていた
時間がたつにつれ
ウヤムヤになっていく話を
ずっと気にしているままだった
以前あったのに今はもうないもの 思い出す
消えたものは あとかたもなくなっているけれど
確かにまだ 覚えている
はがいじめ とまることができないなら
進む道しかないのに どうしてとまどう
その場に立ちすくみ まるでいない人のように
ぼんやり思う
どうすれば ゆるしていけるのだろう
とかしていけるのだろう
気持ちの中に眠っている 大切な形は
目覚めるかな 気づいてくれるかな
できることなら なんとなくふーっとしていたい
自分に失望しているより ただゆるしたい
それだけを もっともっとと 願っている
一瞬がすべてをおおいつくして そして頭のかたすみに
よぎった言葉がかき消されていく
問い始めたことを やめよう
答えにたどりその着く前に
戻る 編 削 Point(1)