おじさんの花火/yo-yo
だ これだ
おじさんはしっかりVサインして
ヒューヒューヒュー ドーン
なのに
おじさんの花火はいつも同じだった
「もう花火は無理かもしれない
夏休みも終わる頃に
おじさんはさびしそうに言った
「でもやってみよう
「一発ナイヤガラに挑戦してみよう
おじさんはいつものように
地面を蹴った
ぼくたちはいっせいに夜空を見あげる
大きな銀河が斜めに流れている
ナイヤガラはどんなだろう
あの光の果てにあるのだろうか
けれども何も始まらない
星だけが星のまんま
そのとき足元で
ヒューヒューヒューとかすかな音がした
線香花火が弱い光を放射している
小さな小さな火の玉が
うるうるとしばらく浮いたあとに
ぽとりと地面におちて消えた
おじさん……
そうして
ぼくたちの夏は終ったのだった
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