水を差す/
小猫峰 護
頬を伝った涙の滴は、
構造的に口角へと落ち、
なんとなしに舌で掬って、
馴染んだ味が思い出されると、
センチメンタルでもなくなって、
濡れた口角は持ち上がり、
出来すぎた機能美に、
覚えず笑っていた。
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