それだけでそこは海だった/モリマサ公
 
ものなんか一つもなかった
ここは永遠にとてもまぶしい場所
みつからない
「不在する存在」
「そこにない」ということが「そこにある」ということ

肋骨いっぱいに満ちてるサイダーの泡
数えていく
びっしりと生えてる信号機の下を走って
もう太陽に焼かれる必要なんかどこにもなかった

こころが
なめらかな海をとらえている
海なんか行ったってなんにもなかった
けれどわたしたちはそこをみつめていた
そこってどこのことだろう

ピンぼけのひとみがただ一面にただよっている
ぼやけてしわしわの輪郭
浮いている窓枠
からっぽの靴下
トンネルの中の口づけ
なだらかな地面

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