劣等感のミント感/Neutral
陽が照らしつけるバス停の 屋根の下で涼む僕の
隣に座っていたどこかの会社員さんは
今 自販機の側に立って得意げに煙草なんか咥えている
吐き出す煙が空の雲に溶けてすぐ見えなくなる様は
この空を何度越えようとしても
跳ね返されて落ちていった者たちの様子を
皮肉っている様に見えた
彼もまた 出世街道まっしぐらの
淘汰する側なのか
真摯な生き方をしても
正しい大人になどなりようのない人はたくさんいる
しかし一方で風の様に
この世界を渡っていける人格の持ち主たちは
もはや存在そのものが才能の暴力
そして最悪な人間というのは
溢れる富と名声と力をこぼさないようにしっかり抱え
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