「ふるさと」/佑木
 
納期の迫った仕事に気持ちを せきたてられながら
ラジオを流していた

テレビ番組の「しろうと のど自慢」が
地球の裏側のチリで中継されていて
そこであなたは歌い始める

ブラジルやチリという国へ
僕等の先輩達は夢と不安を抱いて渡っていった
あなたの事は何も知らない

ラジオなのであなたの顔も姿も見えない
あなたは日本の唄を歌い始める

「ふるさと」の曲が流れる
この歌がこれ程 胸を打つとは 何という事だろう

あなたの澄んだ細い声が流れてくる
不安のなかを生きてきたあなたが
夕日に向かって歌っている姿が浮かぶ

目に涙が溢れてどうにも止まらない
慌てて拭
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