回転木馬/nonya
 

喉元を過ぎた熱さは
記憶の端に刻まれることもなく
ボトル半分の濁り水とともに
朝焼けの彼方に消えていく

問題と解答を丸暗記するだけの
退屈な学習にも飽きて
何度も同じ過ちを繰り返しては
薄笑いの裏側に忘れていく

回る
回る
回転木馬
風景も痛みも煌きも
予定通りに
巡り
巡る

惰性ではないと言いながら
推進力を持たなくなった心は
パルスの海で溺れかけては
感動の人工浜に打ち上げられる

子供の心を持った大人なんて
いったい何処にいるのだろう
気紛れで薄っぺらな好奇心は
なけなしの紙幣と交換される

回る
回る
回転木馬
緩やか
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