amaoto/山人
ファルトにさらしている
私たちは雨の中、いや、土砂降りの中
まるで水中を漂う藻のようにふわふわと何かに押され、引かれ
脳内のどこか片隅から放たれる小声に従い、動いていた
雨、その水滴に溶け込んだ念仏
水滴が引力に引かれ落下し
アスファルトという固形物に撃ち当たり
球体が破壊される炸裂音
その音が、ひとしきり私たちの外耳に吸い込まれていく
脳内の広大な農場に張出した棘の先端を
おだやかに覆うように流れていく
私たちは皆、ひとりひとりが孤独な生き物となり
降りしきる雨の中を
新しい戦いのプロローグの中を
ゆったりと活動していた
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