深夜一時、心地よくない秘密めいた場所にて/佐々宝砂
い。
私の心臓は動いているはずだ。
でなければ私は。
無理に立ち上がりパンツをあげる。
ギラギラがグラリと反転する、
暗黒がやってくる、
もう何も見えはしない、
これはだめだ、
もうだめだ、
どうしよう、
せめて、
せめてズボンをきちんと穿きたい、
それが最後の願いだとしたら
悲しすぎる願いを血流の足りない脳で願いながら
私は意識を失った、
心地よくない秘密めいた場所で、
深夜一時、
ひとが孤独になれる小さな空間で、
ひとがみなひとに見せたくないものを放り出す場所で。
心臓がゆっくり動いている。
ゆっくりだけれど動いている。
確かに
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