ほむらやまい/佐々宝砂
 
真夜中の校舎がいきなりスライドした。

なんのことかわからなくて目をみはる。
見覚えのある建物はすでにそこにはなく
見たことのない建物がそこにあった。
そこに行かねばならないとわかっていたので
歩いて行った。

幽鬼の淡青をまとったひとびとが
幽鬼のように歩いていた。
わたしのように歩いていた。
けれどわたしは彼らとは違って
けれどわたしはそれを隠しておかねばならなかった。

彼らとは違うということを
絶対に悟られてはならない。
けれど彼らに紛れて歩いて行かねばならない。

どこへ?
このわけのわからない
工場とも学校ともオフィスビルとも見分けがつかぬ

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