ハイデガーのエス・ギプト/はなもとあお
【ハイデガーのエス・ギプト】
存在は、あたえられたもの、である
存在がそれをあたえて
存在者、存在する物が
ある、に、なる
戦争が生死をわけ
生き残った人間に
よりそう人、よりそう自然が、与えられるように、ある
ある、ことの、ありがたさ
失うものの多い戦を経て
手をとりあう
家族、友人が存在することの神秘
かけがえのなさ
贈られてある、存在を
喜ぶことのできる、いのち
存在者が存在するということ
その稀有な価値
ほんとうはいのちあるものすべてに、平等に、
与えられているもの
生き残ったものだけが
感じることのできるよろこび
* エス・ギプトとは、ドイツ語で「〜がある」をあらわす定型表現である。
* レヴィナスは、レヴィナスのいうイリヤとハイデカーのいうエス・ギプトとは、基本的な経験の差異により、かかわりのないもの、という見解を示している。
参考文献
『現代思想フォーカス88』 木田 元 編 新書館
戻る 編 削 Point(5)