歩兵/HAL
『戦争のことは歩兵に聞け』という言葉がある
それは赤紙によって招集された
民間人が殆どであるがために
戦場に於いて敵を撃つ怖さ
敵から撃たれる銃弾の恐怖
そう戦場に流れ弾など一発もない
また同時に補給路が絶たれることで
水すらも飲めない飢えや
医薬品の不足による疾病の痛みなど
苦しみを味わっているだけでなく
眼の前で殺された同胞の屍体
飢餓によって死んだ屍体などを
余りに数多く視ているために
戦争の惨さ 凄惨 残酷 残忍を
肌で知ってしまっているからである
さらにその悲惨をその眼で視ることはなく
食料も医薬品も弾薬すらももうないのに
『玉砕せよ』と安全な銃弾の飛んで来ない場所から
逆らうことのできない命令を出す大本営の
理不尽を心に刻みつけているからである
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