チョコバナナ/灰泥軽茶
何かの偶然で
チョコレートとバナナを食べる時がある
それは特別に用意したものではなく巡りあわせ
チョコレートを口に放り込んで小腹具合にバナナを齧る
またはバナナに途中ちょっと飽きてチョコレートを頬張る
そうすると夏祭りの幻影
風鈴の音
人々の声
みんなの気配
軽そうなきみどり色の草がひょろひょろと舞い
濡れた滑らかな石と石
明るく照らされた屋台にひょこひょこチョコバナナが立ち並ぶ
私は食べたこともないのに匂いを
胸いっぱい吸い込むと
とても満たされた気分になり
意気揚々
なんでもできそうな気分になって
暗闇と灯りに
紛れてもうひとりの自分と
掌でかざして遊んでいた頃を思い出す
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