いつかだった昨日のはなし/ブルーベリー
闇夜に炎が一筋舞って
空虚に食われて消えた
*
これは引越し、
要る物と要らない物に分ける
あれと同じだよ
マシュマロのような
ハラワタを詰めながら
そう囁いて泣き笑う
僕の身にもなってよ
先に灼いたのは君だったろ
焼き椎茸の色をした
焦げマシュマロを食べながら
そう頷いて泣き笑う
灼かれたのは僕だったろ
*
プラスチックの爪先が
炎に融解して
難燃性のアクリルは
遠く異郷の匂いを点ててた
嘘じゃないよ
中指を無遠慮に突き刺す
然したる長さもない凶器が
空虚
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