きみに飛蝗/nomica
 
朝まだ誰もいない原っぱの真ん中で
歌をうたいました、きみと
かなしいのだろうけど、
むずかしくてわからない、
外国の歌をうたいました、きみと
どこまでもどこまでも、
でこぼこの道を、今にも崩れそうな
ロバのひく車にのっていく、
ぎーちゃっちゃ、ぎーちゃっちゃ
そんな歌を、きみと

まだ暑くならない原っぱの上で、
飛蝗を探して歩きました
まだひとりでうたっていました、きみは
だからなかなかくっついて離れない
おんぶ飛蝗をつれて帰りました
それから天道虫も、きみに
らいらーらい、らいらーらい、
突然走って消えたくなったけど
それよりもこの隣に座っていられることは
至福かもしれないので、
じっと靴にアリが登るのを見ていました、きみの

のぼりきったら
あきてしまって
また飛蝗を探しに行きました
今度は歌がとまっちゃうような
あざやかなの、きみに
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