もつれこむ/
 
光の死体に囲繞されている中心部が電車のなかでは反転する。濃い色の髪の毛が重いと呼ばれるのは必ずしもその色だけではなくて、そのものの重力を指し示している。深刻さ。彼女の髪は星星の重さを持っていて、ある一定のリズムで回転することが肉にも位置付けられている。ぼくは彼女の髪を撫でることはできない。彼女の肉は嫌悪で速度を上げるだろう。乱調は星星の常でありぼくのするべきことではない。電車が過ぎる。シートと肌が癒着してきて、彼女という感覚が遠くなる。ぼくたちはゆっくりと距離をあきらめていく。あきらめ、と口に出してなつかしむことさえも憎しみを抱きながら、しかしそれを口には出さないようにしながら。ぼくはある砂漠の
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