父さん/砂木
父の死後 葬式が終わった次の日から
働きに出た私を 奇異の目で見る人もいた
供養が足りないと 言う
しかし 私は働きにでて良かったと思う
泣いてもわめいてもどうにもならないのだ
日常を取り戻す事こそが 私に必要だった
自分にもしもの事があったら すぐ お寺に連絡するように
何か聞いておきたいことはないのか と弟に問い
母や看護師さんには お礼を述べたと言う父
母の名を呼び 私をちゃんづけで呼んだという
苦しがる中 手を握るしかできなかった
最後の時には 間に合わなかった
骨を拾い 葬式をして 私は働いた
他に何ができる できることはない
悲しみに落ち込むより現実
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