冬に花火はやらない/一尾
 
私のことを好きだと言ったせいちゃんの気持ちに応えなかったことでせいちゃんの気が少しずつおかしくなっていくのを横でずっと見ていたとき確かに破滅の足音が聞こえていたのに私も意地汚い方だから優れた友人として好きだったせいちゃんの手をうまく離す出来なくて二人で誰も飛ばない大縄跳びを永遠に回しているような時期があった
縄跳びは弧を描いて何度も地面に叩きつけられその度に私とせいちゃんは擦り切れていった互いの好意はカテゴリー・エラーのために上手く実を結ばず歪な根として育つことでしかエネルギーを発散できず関係をよりややこしいものにしていたように思う


せいちゃんは認知の仕方に問題を抱えていたので自分への
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